北を目指し、軍靴が往く。
その一対が鳴らし続ける響きに狂いはなく、それでいてその主からは狂気を感じさせずにはいられない。
歩き、歩き、屠り、そしてまた歩く。その愚直ともいえる繰り返しはまるで何かを取り戻すようであり、何かを置き去るようでもあった。
たったひとりの行進は、自らに留まることを許さない。
風走る平原、光惑う森林、雲渡る山道、時澱む要塞。街道を北に向うにつれ、季節は少しずつ冬の輪郭を明瞭にしていく。
そして水の精霊がその年初めての六花を空に舞わせた日、男はロデの街の門をくぐった。
しかしそれは休息ではなく、更なる先へと進むため。
目指す地は、近付きつつあった。
【Image Track 02】 sgt. - Paranoia
[2回]
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