灌木の隙間を縫うように続く道は、2月の雪に覆われていた。
手にした地図と、遺された記憶を辿るように男は歩く。足跡ひとつ残っていない、真っ白な道を。
拍動に比例するように次第に早まる歩みは、いつしか駆けるように前を求めていた。
やがて潅木の茂みが途切れる。突如開けた視界。
広がる純白の海を前に、男は歩みを止めた。
ヘステイア。彼らの、終焉の地。
ゆっくりと、足を踏み入れる。
一歩ごとに残る足跡と、蘇っていく喪失の記憶。
ここで彼らは戦い、そして散った。
手にしたものは、全て失った。
何よりも大切な、ものまでも。
果て見えぬ海を彷徨い続けた男は、やがてその膝を雪面に着けた。
仮面を伝う、ひとつぶの雫。
それは葉から零れる露のように、落ちた。
【Image Track 04】 Mono - "Follow The Map"
[2回]
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