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06 . April
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23 . June
6月の降り止まぬ雨はまるで、鎖のようだった。
春が、大地を繋ぎ止めるための、鎖。
けれど夏を求める大地は抗う。やがて鎖は、断ち切られるだろう。


氷輪は今日も、空を仰ぐ。
雨粒が仮面を叩き続ける小さく軽い音の連なりが、不思議と心を落ち着かせた。
この地で時が途切れたのは5年前の春が終わる頃。そして今、時は再び動き出そうとしている。
全てを隠す仮面の下、雨音にかき消されてしまうほど小さく、氷輪は呟く。


ただいま。


そして氷輪は足を踏み出す。力強く、前へと。
戦いを始めよう。忘れられた名を、世界に示すため。




雨音が途絶える。
夏が、始まろうとしていた。





【Image Track 07】 Mouse on the Keys - Forgotten Children

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16 . June
雪はもう、この高地から去っていた。
長い長い冬を雪下で過ごした草原はその色を失ったまま風の精霊に小さく乾いたざわめきを返す。
見上げる空は未だ厚い鈍色の雲に覆われたままで、そこから新しい季節を感じ取ることは難しい。
暦は5月。春は、とうに訪れているはずだった。

男は独り、この地に留まり戦い続けていた。
ひとつ、またひとつ命を断つ。途絶えた時を、繋げようとするように。
広大な草原の真中で幾つ目かの命を断った時、男は己に近付く足音を聞いた。それは騒々しい、けれどどこか暖かい響き。
ゆっくりと振り返るその先に見えたのは5人の人影と、途切れた雲の隙間から差す、光。
それは新しい季節の訪れだった。



これは我々が語り継ぐべき、ひとつの物語。
始まりはイブラシル暦684年の春、嘗ての終焉の地ヘステイア。
紡ぎ手は機動殲滅隊6代目総帥、『落露の氷輪』





【Image Track 06】 Sgt. - すばらしき光

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04 . June
3月の雪はこの大陸から過ぎ去ろうとする季節に縋るように、未だ厳しい寒さが残るこの高地に降り続けていた。
それはひそやかに、しめやかに。
漆黒の外套に重なる純白の層は、時が経つにつれ少しずつその厚みを増していく。
男の歩みは、止まったままだった。

穢れ無き白に包まれた世界は、男に残る戦場の記憶とはあまりにもかけ離れていた。


この純粋な世界のどこかに、君はいるのだろうか?


無意識に仰いだ雪降る空に吸い込まれそうで、男は仮面の奥の眼差を僅かに細めた。




雪の下、戻らぬ過去を想う。





【Image Track 05】 Mono - Are You There?

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